不動産と活断層    
 
活断層とは、「最近数十万年間に、概ね千年から数万年の周期で繰り返し動いてきた跡が地形に現れ、今後も活動を繰り返すと考えられる断層」と国土地理院「都市圏活断層図」では定義しており、下図のような地図が発行されています。大きな本屋か地図専門店などで販売しています。

私たちが不動産を購入したり、又その地域に住む場合、活断層をどのようにとらえ対応するかは、今もって明確な指針や指導はありません。ましてや重要事項説明書にもほとんどの場合記載していないのが現状です
地震は日本のどこかで常に起こっていると言っても過言ではないほど頻繁に起きています。よくニュース速報が流れるのをご覧になると思います。もちろん地震のすべてが活断層によるものではありませんし、むしろ少ないほうです。それでも皆さんがご存じの阪神淡路大震災(1995)はこの活断層によるもので、その被害については言うまでもありません。

でもいつ動くか、どれくらいの地震が起こるかなどはまだ解明されていません(ある程度の予測ができる活断層の調査もありますが)。そのような不確定な要因で不動産を選んだり、住まいを探すときに影響を考えるのは妥当だとはいえません。
活断層による地震は予知できないとしたら、私たちはどう対応するべきか、又なにができるのかそれを考えておくことがもっとも大切です。


もし住まいが活断層の近くか(どのくらいの範囲をその範囲とするかは明確ではありませんが、参考までにアメリカのサンアンドレアス断層では活断層から約15m離して居住用建築物は建築するようになっています。 その上にあったとしたら、まずその活断層がどのような性格のものなのかを調べ、同時に建物が建っている地盤(地質)の状況を調べます。同じマグニチュードでも地質によってゆれが違います。次にその建物の基礎、構造を調べ、それらの情報を元に想定されるマグニチュードで大丈夫か検討するしかありません。(専門家に依頼するしかありません)

最初にふれたように活断層の活動間隔が千年から数万年であることをもう一度考えて見て下さい仮に人生100年として10世代から数百世代の間で起こるか起こらないかを考えることができるかです。建築物も100年住宅や今後200年住宅の時代が来ると思われますが、それでも10回や数百回の建て替えを経ていく時間です。果たしてこの時間間隔を現実として受け入れられるかどうか、はなはだ疑問です。
人生の短さに較べ自然現象の時間がいかに長いものか思い知らされます。


そこで、私たちが対処すべきは、活断層による地震がいつ起きるか、又どんな規模なのかではなく、むしろその活断層をよく知り、自然現象に逆らわず、うまく共存することだと思います。それには各自が防災意識を持ち、それを受け継いでいき、身近な生活の場で防災実践していくことです。  

一度自宅近辺に活断層があるか無いか調べてみてはいかがですか。

国土地理院発行「都市圏活断層図:青梅」より抜粋
@西側より立川断層方面を見る


A東側より立川断層方面
B北西より立川断層方面
東京都心部は堆積層が厚く、地表で確認できるような地形は見あたりませんが、地下探査により痕跡が見つけられるようになりました。今後の調査解析により判明してくるでしょう。柏崎原発沖の海底の活断層が中越沖地震の震源となっているように、海底の詳細な調査はまだまだ十分ではありません。