不動産に影響?埋蔵文化財とは    
 
埋蔵文化財とは、地中に埋もれている文化財のことであり、それを包蔵している土地のことを「埋蔵文化財包蔵地」=「遺跡」と呼んでいます。

遺跡は普通、発掘調査によってのみ知り得ることができ、一般的には土器・石器・木器等の遺物類、土地に刻まれた住居址の痕跡(遺構)・環濠・城館址・土墳・土坑等などや、屋外の炉、作業場、信仰場等が埋蔵されています。
しかし、最近では遺跡の概念として上記した以外にも人々が生活の場として活動したすべての領域を遺跡として捉えるようになっています。そして、これらの遺跡は私たちの足元に埋もれているのです。

多くの遺跡は長い年月(数万年前から今日に至る)の間に地中に埋もれてしまい今に至っています。したがって、地上からは区別しにくいのが現状です。
遺跡の存在は、記述として残っている歴史以前の空白部分や未知の部分、また歴史に欠落している部分を補う資料として地中で保護されていると言っても過言ではありません。 これまでに確認された遺跡は、縄文時代や弥生時代あるいは古墳時代ごとに、その性格を異にしていますが、日常的な生活・居住の場所である集落(住居址等)は、河川流域や湧水地、池周辺の台地上で多く発見され、生産の場所(水田等)は以前そこが湿地であったと思われる場所で発見されています。


しかし、これらの遺跡の存在した地域も、今では当時の地形をそのまま残していることはほとんどなく、土壌の自然堆積、人為的な土盛り、削除等によって外形はすっかり変化しており、この変化を見極めるためには専門的な知識が必要とされます。

特に、都市化と宅地開発が進んだ地域では、日常生活の中で地表面から遺跡の存在を確認するのはかなり困難となっています。 これら、現在では私たちの足下に眠っている遺跡は、地域の歴史を知るためにも欠かせないものであるだけではなく、過去の人類のあゆみを現代に伝えることができる大切な財産です。 ところが、これらの遺跡は日々の活動によって破壊される危機にあります。
大切な財産である遺跡がだれにも知られないままに破壊されて行くことはその地域のみならず、私たちにとっても大きな損失です。


我が国では1950年に文化財保護法が制定され、のちに幾度かの改正を経て文化財の保護がなされてきました。
遺跡も文化財として、失われるのを防ぐためにこの法律の中で一定の保護を図るための規定が設けられています。


現代の私たちの活動によって遺跡が破壊され、私たちの歴史の解明ができなくなることを防ぐためには、この法の主旨を理解し守ることが大切です。
遺跡は現代に生きる私たちだけのものではありません。より良い環境を次の世代に引き継いで行くのと同じように、遺跡もまた次世代に引き継いで行かなければならないものです。


家を建てる際にはその地域が「埋蔵文化財包蔵地」かどうか調べておきましょう。
又現在自分が住んでいる地域が包蔵地かどうかを知っておくのも無駄ではありません。
埋蔵文化財包蔵地マップ
−参考− 文化財保護法(抜粋)
「埋蔵文化財」(調査のための発掘に関する届出、指示及び命令)
第57条 
土地に埋蔵されている文化財は(以下「埋蔵文化財」という)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部省令の定める事項を記載した書面をもって、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければならない。ただし、文部省令の定める場合は、この限りではない。
2 埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る発掘に関し必要な事項及び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止若しくは中止を命ずることができる


(土木工事のための発掘に関する届出及び指示)
第57条の2
土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝塚、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する 土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という)を発掘しようとする場合には、前条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるのは「60日前」と読み替えるものとする。
2 埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項で準用する前条第1項の届出に係る発掘に関し必要な事項を指示することができる。


(埋蔵文化財包蔵地の周知)
第57条の4 国及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備その他その周知の 徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。
2 国は、地方公共団体が行う前項の措置に関し、指導、助言その他の必要と認められる援助をすることができる。


(遺跡の発見に関する届出、停止命令等)
第57条の5 
土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝塚、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、第57条第1項{調査のための発掘に関する届出}の規定による調査に当たって発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部省令の定める事項を記載した書面をもって、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その都度において、その現状を変更することを妨げない。
2 文化庁長官は、前項の届出があった場合において、当該届出に係わる遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者又は占有者に対し、期間及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止を命ずることができる。ただし、その期間は、3ヶ月を超えることができない.
3 文化庁長官は、前項の命令をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
4 第2項の命令は、第1項の届出があった日から起算して1ヶ月以内にしなければならない。
5 第2項の場合において、同項の期間内に調査が完了せず、引き続き調査を行う必要があるときは、文化庁長官は、1回に限り、当該命令に係る区域の全部又は一部について、その期間を延長することができる。ただし、当該命令の期間が、同項の期間と通算して6ヶ月を超えることとなってはならない。
6 第2項及び前項の期間を計算する場合においては、第1項の届出があった日から起算して第2項の命令を発した日までの期間が含まれるものとする。
7 文化庁長官は、第1項の届出がなされなかった場合においても、第2項及び第5項に規定する措置を執ることができる
8 文化庁長官は、第2項の措置を執った場合を除き、第1項の届出がなされた場合には、当該遺跡の保護 上必要な指示をすることができる。前項の規定により第2項の措置を執った場合を除き、第1項の届出がなされなかったときも、同様とする。
9 第2項の命令によって損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。
10 前項の場合には、第41条第2項から第4項{損失補償額の決定・補償額の増額請求の訴え・訴えにお ける国の被告}までの規定を準用する。