地下マンションとは    

ここでは建築基準法の改正により、それまでは見られなかった斜面地に建つマンションを想定しています。平坦地に建つ地下階付きのマンションではありません。

1994年の建築基準法の改正で,地下室(階高の3分の1以上の壁が地下に接していれば地下室)は容積率に算入しなくてもよいということになりました。結果として、容積率が周囲より増す事になります。また、建物の絶対高さが平坦な土地より高くなり、階数も多くできることになります。
この措置は本来、一般住宅による土地利用の有効化を目的としていましたが、一部のマンション建設・販売業者がこの条項を利用し、斜面に接したマンションの建設を始めました。すなわち、斜面の部分は地下室とされるので、斜面の下から基礎を立ち上げて、例えば“地上2階,地下5階”、実質的には7階という奇妙なマンションが出現するようになりました。
当然、こうした建物は周囲の景観(谷底から見上げると巨大な壁)や環境(斜面は住宅地に残された貴重な緑地)を悪化させるので、周辺住民との摩擦が各地で生じています。

最近では、わざわざ谷埋め盛土を作った後に、それに接して谷の出口にマンションを建設するという行為も見られます。
この場合、マンションは通常の土圧に加えて、盛土内部の水圧、すべり土圧も受けることになるので、環境・景観問題に加えて強度上の問題点も抱えることになります。
最近では、いくつかの自治体で条例を施行し、地下室マンションの規制に乗り出しています。

           
左の写真はこのマンションのエントランスです。道路からは2階建の様に見えます。ところが、下方からこのマンションを眺めると7階建です。