宅造法(宅地造成等規制法)改正されました。 平成18年4月1日公布  

○宅造法制定の経緯

経済の高度成長に伴う人口の大都市集中による大量の住宅需要によって、都市近郊の地価の安い丘陵地の傾斜地が数多く宅地造成された結果、擁壁・排水設備が不充分な宅地が多くみられるようになり、がけ崩れ等の災害が危惧されはじめました。そこに、昭和36年の梅雨前線による豪雨が各地に多大な被害をもたらしたことが宅造法制定のきっかけになり、前年に神戸市で制定された「傾斜地における土木工事の規制に関する条例」を下敷きにした法律です。
ところが宅地造成規制区域」は、都市計画図に記載されていませんので、該当区域に指定されているか、許可が必要かは役所で確認する必要があります。規制区域内での宅地造成工事は、一定の技術基準に従い、擁壁または排水設備の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するために必要な措置を講じなければなりませんし、有資格による設計の必要があります。


○地震による被害
阪神淡路地震や新潟県中越地震において宅地造成工事規制区域以外の大規模盛土造成地で滑動崩落が発生したことにより、宅地造成工事規制区域外の既存宅地を含めた造成宅地の安全対策が必要となりました。

○改正された法律
改正された内容で一番大きな点は、新たに造成宅地防災区域を設けたことでしょう。
これは、新たに造成される宅地ではなく既存の宅地で、都道府県知事等が崖崩れ等による災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい造成宅地の区域を造成宅地防災区域として指定するものです。
その結果、その区域内の宅地所有者等に対して災害防止のための必要な措置をとることを勧告し、又は命ずることができるようになったことです。
今後各地方公共団体が宅地ハザードマップを作成し、造成宅地防災区域の指定が行われます。
全国には約13000箇所の大規模盛土造成地があると推定され、そのうち大地震時に大きな影響を及ぼすおそれのある所は約1000箇所と推定されています。(国土交通書資料による)


○大規模盛土造成地滑動崩落防止事業
災害防止のための必要な措置としての滑動崩落防止工事は宅地所有者等が行わなくてはなりません。
そのため住民意識や地方公共団体の取り組み方の地域差が、大きな地震の際にあう被害の大きさの差になってくるでしょう。
大規模盛土造成地滑動崩落防止事業は、大地震が発生した場合に滑動崩落するおそれのある大規模盛土造成地であって、崩落するおそれのある盛土部分の面積が3,000u以上であり、かつ当該盛土上に存在する家屋が10戸以上であるもののうち、当該盛土の滑動崩落により、国道や河川などの公共施設に被害が発生するおそれのあるものは国からの工事費用の一部補助があります。


宅造法による造成工事の状況