1.私道の2項道路における所有者の自動車通行許可 最高裁 平成12年1月27日  
 
概 要
原告はその所有地から公道に至るため被告の所有する私道を通行していた。S59に被告が被告所有地にマンションを建設するために拡幅したため本件私道が42条2項道路の指定を受けた。その後、原告が所有地を賃貸駐車場として利用し自動車の通行を求めたが、被告はこれを阻止するために道路上にポールを立てところ、その撤去を求めて提訴したものです。
裁判所の判断
一審では原告の請求を斥けたが、控訴審は42条2項道路の指定を受けた反射的利益により私道を自由に通行できるようになった者は、通行の自由権に基づきその妨害排除請求できるとしました。

これに対し、最高裁は、建築基準法42条2項道路の指定を受け、現実に開設されている道路を通行するについて、日常生活上必要不可欠の利益を有する者は、通行の妨害及び招来の妨害禁止を求める人格権的利益を有するとしましたが、次の理由により原告の請求を斥けました。
①本件私道は未舗装で、もっぱら徒歩又は自転車による通行に供されてきたこと。
②原告が主誘致を賃貸駐車場として利用するために本件私道の自動車の通行を求めていること。
このような状況は、原告が本件私道を自動車で通行することは、日常生活上必要不可欠の利益を有しない。
教 訓
たとえ42条2項道路であっても、その利用目的や時期、経緯などにより必ずしも自動車の通行が認められることはないことがある。特に私道の2項道路の場合は、接する所有関係や道路利用状況に充分注意する必要があります。建築は認められますが、自動車が通行できない物件かもしれません。