2.私道の自動車通行の権利の条件とは 東京高裁 平成11年12月16日  
 
概 要
Xは幅員約2mの奥にある土地を所有していたが、私道に面する土地を購入したYらが、道路を拡幅(セットバック)した為に当該私道が建築基準法42条2項道路と指定された。ところが、XがYらの承諾を得ることなく拡幅後の私道を自動車で通行したため、Yらは自動車の通行が出来ないような工作物を設置した。
これに対してXは人格権的権利のとしての私道の通行の自由権を根拠に、工作物の撤去、損害賠償等をYらに請求して提訴した事例
裁判所の判断
第1審はXの請求を認めたが、控訴審は次のように述べてYの訴えを退けた。
①拡幅後の私道の幅員は自動車の安全な通行のためには不十分であること。
②Xが自動車を購入したのは私道の拡幅の前であり、購入時点では私道の自動車による通行が不可能な状態であったこと。
を認定することができ、Xには私道を所有者の承諾なしに自動車で通行する権利が「あるとは認められない。
教 訓
私道の場合は自動車の通行が可能か確認すること。私道に面する住宅に駐車場がない場合は特に気をつける。裁判では人間の通行は認めても自動車の通行は認められないケースがあります。
又、工事のための道路掘削なども私道所有者に承諾を得る必要があることがあります。